近年、全国各地で相次いでいる記録的な大雨。
短時間に大量の雨が降る「線状降水帯」などによって、河川の氾濫や道路の冠水、住宅への浸水など、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼす水害が繰り返し発生しています。
そして、水害への備えを考えるうえで忘れてはいけないのが「車」です。
大雨によって道路や駐車場が冠水すると、駐車していた車が水につかったり、走行中に浸水して動けなくなったりすることがあります。
「もし自分の車が水没してしまったら、修理費用はどうなるのか?」
今回は、豪雨災害が続く今だからこそ知っておきたい「水害と自動車保険」についてご紹介します。
■ 豪雨や洪水による車の水没は「車両保険」で補償されることも
任意の自動車保険に「車両保険」を付けている場合、台風や洪水、高潮などによって車が損害を受けたときは、契約内容や被害の程度などに応じて保険金が支払われる場合があります。
日本損害保険協会でも、車両保険を付けている場合、台風や洪水などの風水災によって自動車が損害を受けた際に保険金が支払われると案内しています。なお、契約タイプによっては補償されない場合もあるため、実際の補償範囲については確認が必要です。 (損保ジャパン)
例えば、
・大雨で駐車場が冠水し、車が水没した
・河川の氾濫によって車が浸水した
・台風による洪水や高潮で車に損害が発生した
といったケースが考えられます。
実際に東京海上日動でも、台風や大雨による洪水で自動車が水没した場合、車両保険を契約していれば補償対象になると案内しています。 (東京海上日動)
ただし、「自動車保険に入っている=水没した車が必ず補償される」というわけではありません。
車両保険に加入しているか、どのような補償タイプを選択しているか、免責金額(自己負担額)が設定されているかなどによって、実際に受け取れる保険金は異なります。
また、一般的な車両保険では台風・洪水・高潮が補償対象となる一方、地震・噴火・津波による車両の損害は原則として補償対象外となる点にも注意が必要です。 (損保ジャパン)
■ 保険を使うと「翌年の保険料」に影響する可能性も
もう一つ知っておきたいのが、保険を利用した後の「等級」です。
一般的な個人の自動車保険などで採用されているノンフリート等級制度では、洪水や台風、高潮などによる被害で車両保険の保険金を受け取った場合、「1等級ダウン事故」として扱われます。
その場合、翌年の契約では原則として等級が1つ下がり、さらに1年間は「事故有」の割引率が適用されるため、保険料が上がる可能性があります。 (損害保険ガイド)
そのため、
「車両保険が使えるから、とりあえず保険を使おう」
とすぐに判断するのではなく、修理費用や免責金額、保険を利用した場合の翌年以降の保険料などを確認したうえで判断することも大切です。
例えば比較的小さな損害であれば、保険を使わず自己負担で修理した方が、長期的な負担を抑えられるケースも考えられます。
被害に遭った際には、まず加入している保険会社や代理店へ連絡し、「今回の被害は補償対象になるのか」「保険を利用した場合、翌年以降の保険料にどの程度影響するのか」などを確認してから判断しましょう。
■ 災害が起きる前に「自分の車の補償」を確認しておこう
豪雨災害への備えというと、非常食や飲料水、防災バッグ、避難場所などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、日常生活に車が欠かせない地域では、車を失うことがその後の生活や仕事にも大きな影響を及ぼします。
災害が発生してから「自分の保険では水害が補償されなかった」と気付くのではなく、平時のうちに保険証券や契約内容を確認しておくことも、大切な防災の一つです。
特に確認しておきたいのは、
・車両保険に加入しているか
・台風や洪水などの水害が補償対象になっているか
・車両保険金額はいくらか
・免責金額(自己負担額)はいくらか
・水害で保険を使用した場合、等級や翌年の保険料がどう変わるか
といったポイントです。
なお、日本損害保険協会は、2026年9月7日にも台風第24号および前線による大雨の被災者に向け、車両保険などには風水雪災による損害を補償するものがあるとして、契約している保険会社や代理店への確認を呼びかけています。 (損保ジャパン)
■ 車が水没・冠水したら、無理にエンジンをかけない
そして何より重要なのは、保険よりもまず「命を守ること」です。
大雨で道路が冠水している場合、「これくらいなら通れるだろう」と車で進入することは避けましょう。水深や道路の状況は見た目だけでは判断できず、車が動けなくなることで避難が困難になる危険があります。
また、水につかった車を発見した場合も、自分の判断だけでエンジンを始動させたりせず、安全を確保したうえでロードサービスや販売店、保険会社などへ相談することが重要です。
■ 「保険を確認する」ことも防災のひとつ
自然災害そのものを防ぐことはできません。
しかし、災害が起きたときに「どのような補償を受けられるのか」を事前に知っておくことはできます。
近年、全国各地で豪雨による被害が繰り返されています。
自宅の防災用品や避難経路を確認するときに、ぜひ一度、車の保険についても確認してみてください。
「自分の車は水害に遭ったとき、どこまで補償されるのか。」
その確認もまた、災害後の生活を守るための大切な“備え”です。
※本記事は一般的な自動車保険の仕組みについて紹介したものです。実際の補償範囲、保険金額、免責金額、等級・保険料への影響などは保険会社や契約内容によって異なります。詳しくは、ご加入の保険会社・保険代理店へご確認ください。






